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  理解しておきたい簡単用語集
発達障害
(developmenntal disorder)と
発達遅滞
(deveropmental retardation)
 心身の発達に遅れがある場合、上記の言葉がよく使われます。「発達障碍」という言葉は、“発達の遅れが、どんな原因によるのか”を重視するのに対して、「発達遅滞」は、“遅れそのものを捉えようとする”点に、用語としての相違がややあります。同じように使用されても、前者の言葉には「何か固定的な病気」を連想しがちなので、後者を使うことがあります。発達障碍には、以下のものがあります。
*知的障碍
*学習障碍
*運動能力障碍 
*コミュニケーション障碍
*広汎性発達障碍 
*注意欠陥破壊的行動障碍
(DSM−Wアメリカ精神医学学会「精神障害の診断・統計マニュアル」より→
日本では、「注意欠陥・多動障碍」とされています。アメリカと日本では、障碍の捉え方に若干の相違があります。)
知能について  「知能」は、一般的に“頭の良さ”や“学業成績”の良さとしてとらえられがちです。しかし、これは知能の一面にすぎません。「知能の定義」は研究者によってさまざまですすが、おおむね
*「学習能力」(経験から学ぶ力)
*「思考力」(抽象的、論理的に考える力)
*「適応力」(新しい環境や、思いがけないことに直面してもうまく適応し、解決する力)
と言えます。また、「知能は遺伝する」とか「知能は不変」とも言われた時期がありましたが、現在では“変化する”とも言われています。
また、「学業成績」のような“知識や、ひとつだけの正答を求められる思考力”は測れますが、「創造性」や「表現能力」「感受性や感情の豊かさ」は測れません。知能の伸び方や伸びる時期にも、個人差があります。
知能テストについて  知能の「測り方」がさまざまに研究された結果、現在、多くの「知能テスト」があります。日本でよく使われているのは
「田中・ビネー知能検査」と「ウェクスラー知能検査」
(WISC・V、通称はウィスク・サード)です。
どの知能検査も、それが使用できる年令に、限定があります。
「田中・ビネー知能検査」は、2才〜成人までと幅広く使用でき、検査への導入や実施が、「WISC・V」より容易です。
「WISC・V」の適用年令は、5才0ヶ月〜16才11ヶ月となっています。
「知能指数」(IQ)は、どの検査でも、決まった手順に従って算出するものです。
したがって、出された数字の告知だけで、子どもの「知的能力」を判断することは避けましょう。また検査者の経験の深さ、浅さによっても、本人の状態によっても「真の数値」から多少のズレが生じます。おおよその「目安」として受け止め、むしろ「数値から予測される具体的なこと」をきちんと聞いておきましょう。なお、一般的に「WISC・V」の方が、「田中・ビネー知能検査」より、厳しい結果がでる傾向にあります。
IQ90〜100が、いわゆる「普通」(年令相応の知的発達をしている)です。
ADHD
(Attention defcit hayperactivity disorder)
注意欠陥・多動障碍
 7才未満で発症します。
*「不注意」(物事をパッと見ただけで即、判断してしまう、注意持続の困難、簡単な誤りを繰り返す)
*「他動性」(じっとしていられず、無目的に動き回ったり、やたらによじ登る、喋りっぱなしなど)
*「衝動性」(結果を考えずに欲求に従う、むやみに他人への妨害、邪魔をする)が、基本症状です。
本人の年令や知的レベルに比べてこれらの症状が、“はなはだしい”場合、家庭、学校、病院など、“二つ以上の場面”で、6ヶ月以上の「観察」が、診断に必要です。
また、家庭環境の悪さや、対人関係の悪さから来るものではなく、活発な子にまで「安易な診断」をくださないよう、注意が必要です。中枢神経系の機能不全が原因と考えられますが、年令と共に改善される場合もありますし、服薬が必要な時もあります。なお、知的障碍や自閉症とADHDが並存していることもありますが、この場合は、ADHDとは言いません。またADDは、多動を伴わない「注意欠陥」だけの障碍です。
LD(Learninng disabilities)
学習障害
 1999年に、文部科学省が出した定義は以下のとおりです。
「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む書く、計算する、または推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示すさまざまな状態を示すものである。
学習障害は、その原因として、中枢神経系になんらかの機能障害があると推定される。視覚障害、聴覚障害、知的障碍、情緒障害などの障碍や環境的な要因が直接の原因となるものではない。」
標準化された学力テストと個別に行う知能テストとの「結果の差」が大きい(学力テストの結果<個別の知能テストの結果)ことで予想ができますが、学習障害であることを精査するには、家庭環境の調査、いくつかの心理テストを組み合わせて実施する必要があります。
また、ADHDを伴う場合もあります。ADHDを「注意力の学習障害」とみなす研究者もいて、その分類はまだ流動的です。
知的障碍  知的な発達が、永続的に年令相応の発達から遅れている状態を指します。
特に、物事を抽象的に考えたり、考えを理論的に組み立てる能力には、遅れが目立ちます。
ICD−10(WHOによる『精神および行動の障害』臨床記述とガイドライン)によりますと、「標準」の発達との隔たりから軽度、中等度、重度、最重度に区分されています。
症状が重度化するほど、身体運動の障害や他の疾患(てんかんなど)も並存する割合が高くなり、その原因も特定されやすい傾向があります。
なかには、この障碍があっても、適切な支援を得て「就労可能」な人たちがいます。
障碍の「程度」の判断は、個別の知能テストの結果を厳密にあてはめるべきものではありません。臨床所見(普段の生活を知っている人からの調査)や、適応行動、他の心理測定所見など、「入手できる全ての情報に基づいて、慎重に」判断すべきです。
なお、IQおおよそ70~85を、「境界知能」といいますが、日本では、「手帳」を取得できる基準は、IQ75以下です。
自閉症
(広汎性発達障害)
 3才以前に、発症が見られる「言語、情緒、相互コミュニケーション能力」の障碍です。
主な症状として、「視線が合わない、発話や、その後の言語発達の遅れ」
「人から働きかけられても、情緒的な応答ができない」
「一定の行動、順序、などへの固執や儀式的行動」
「変化や変更への異常な抵抗」
「常同運動(同じ動作を意味なく繰り返す)」などがあります。
時として、「優れた記憶力」を持っています。また、多動、自傷行為、摂食障害が伴うこともあります。男子に圧倒的に多い障碍です。
また、この障碍の4分の3の症例は、「知的障碍」も併発しています。
この障碍の原因はまだ特定できていませんが、ある種の「脳炎後遺症」として発病する例が報告されています。
アスペルガー症候群  疾病分類学上の妥当性が、まだ不明な障碍です。
「自閉症の軽症例」と考えられる可能性が高く、「言語発達の遅れがない」「全体的な知能は正常」である点が、自閉症とは異なります。
しかし、「コミュニケーション、人との情緒的交流の乏しさ」「関心、活動の範囲が狭くこだわりも強い」など、「自閉症」に近い症状が存在します。また、「著しい不器用」(協調運動性障害)もかなりの割合で、存在しています。
:「高機能自閉症」との関係・・・「自閉症」のうち、知的障碍を併発していない場合を「高機能自閉症」といいますが、「アスペルガー症候群」との関係については、議論があります。
臨床的には、このふたつを区別することは困難です。
また、「自閉症」は、幼児期には「重度」と判定された子どもが、その後、知能も伸びコミュニケーション能力もつき、「軽度化」することもあることから、「連続体」という意味で、「自閉症スペクトラム」という概念も用いられます。
てんかん
(てんかん発作)
 脳の神経細胞が過剰に興奮した時に生じる痙攣(運動性の発作)や「意識障害」などの、てんかん発作を繰り返す慢性の病気です。
乳幼児の発熱時にのみ見られる「熱性痙攣」や脳炎、中毒などの急性の病気の最中に見られる痙攣は「てんかん」とは呼びません。
発作は通常、数分以内に自然におさまりますが、時には30分以上続くこともあります。また、「てんかん」には、いろいろな種類があり、発作の種類、脳波異常、経過などによって分類されています。
チック症と
トゥレット症
 「チック」とは不随意に生じる、突発的で急速、反復性があって常動的な「身体の動き」または「発声」のことをいいます。その時、その場にそぐわない動きや発声のため、周囲に奇異な印象を与えます。
「運動性チック」の症状は、瞬き、口をゆがめる、顔をしかめる、首をかしげる、飛び上がる、足を踏み鳴らすなど。
「音声チック」の症状は、咳払い、舌打ち、叫ぶ、反復言語、汚言(卑猥な言葉を発する)などです。
このような症状が「日常生活に支障が出る場合」「チック障碍」といいます。
このような症状が、4週以上、1年未満で終わるものは「一過性チック」といい、1年以上続くものは、「慢性チック」といいます。
また、「トゥレット症」は、複数の症状が全体として1年以上続き遺伝的な基盤があります。発症年令は、4,5才が最も多く10才前後でピークに達しますが、青年期まで続くものもあります。また、強迫性障碍やADHDをあわせもっていることもあります。症状が目立っても、本人にやめるよう決して言わないことが大切です。重症の場合は、薬の処方もあります。かかる医者は「小児神経科」です。
染色体異常  染色体は細胞核の中に含まれていて、塩基性色素によく染まります。バンド状になっていて、その中に遺伝に関し、生物の形質を規定する遺伝子(DNA)が存在しています。
人間の場合、各細胞に46個ずつ、2個ずつの対をなしています。22個の常染色体は男女共通ですが、もう1対は、性染色体(男女を決定する)です。
染色体が突然変異で構造や数に変化が起こってしまうことを「染色体異常」といいます。たとえば、ダウン症は、この染色体異常(21番目の染色体数が違う)で生じるものです。
先天(性)異常  出生以前(遺伝子レベル、胎児期レベル)に原因があって生じる「疾患」をいいます。形態の異常(奇形や欠損)と機能の異常(代謝異常、機能低下)があります。
後天性  「出生後」すなわち、成長過程で病気に罹患したり、事故などで生じる後遺症などを含みます。
たとえば、最近世界的に知られるようになったエイズ(AIDS)は、正式には「後天性免疫不全症候群」といいます。また、胎児期に、母親を通して「感染」した場合は、先天異常とは言わず、「母子感染」と言います。
PT
(Physical Therapay=
フィジカル・セラピー)
 「理学療法」のことを、略してPTといっています。身体障碍者の運動能力の回復を図るため、マッサージ、治療体操や、あるいは光、電気、温熱などを用います。主に、慢性的な痛みやマヒに有効です。
「物理療法」とも言います。
OT
(Occupational Therapay
オキュペイショナル・セラピー)
 「作業療法」と言います。
心身障害者のためのリハビリテーションの一過程です。医師の指示に基づいて、いろいろな作業(たとえば「手工芸」や「園芸」「陶芸」など)を行うことで、回復に役立てようとするものです。作業療法士の指導のもとで、実施します。
ST
(Speech Therapy=
スピーチ・セラピー)
 「言語療法」のことです。主に、言語障害者の機能(話す、読む、書く)改善、回復のための訓練や治療にあたります。
この資格をもった専門家のことを最近では「言語聴覚士」と言います。
PT
(Psyco Therapay=
サイコ・セラピー)
 「心理療法」のことです。人間の持つ精神的な側面に働きかけて心身の病的状態を治療する方法です。「暗示療法」や「催眠療法」があります。
感覚統合(療法)  私たちが、ふだん生活している時は、内外の感覚的な情報(見たもの、聞いたこと、触ったもの、体の傾き、重さの感覚などの全て)を脳の中で処理しつつ「行動」あるいは「作業」をします。
脳に入ってくるたくさんの「感覚刺激」(情報)を、有効に利用できるよう、脳内で能率的に「組み合わせる」ことを「感覚統合」といいます。
発達に障碍のある子どもたちは、この「感覚統合」がうまくいかないことが知られています。このような子どもたちの「行動の理解」と「調和的な発達」のために、作業療法士がさまざまな感覚を刺激する「運動」を通して発達の援助をしていこうとする療法が「感覚統合療法」です。
主に、LDやADHDの症状を対象として、アメリカで始まりました。日本で本格的に行われるようになったのは、80年代からです。
*参考文献 「日本LD学会 LD/ADHD等関連用語集」・・・日本文化科学社
「ICD−10 精神および行動の障害・臨床記述と診断ガイドライン」医学書院
「図解雑学 脳のしくみ」・・・・・・・・・・・・ナツメ社
「図解雑学 発達心理学」・・・・・・・・・・・・ナツメ社
「アスペルガー症候群と学習障害」(榊原洋一著)・講談社+α文庫 
「心理学辞典」・・・・・・・・・・・・・・・・・誠心書房









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